內容介紹
1985年に『東京23區物語』を書いた泉麻人が、2001年という世紀の変わり目を機に出した「改訂版」。しかし東京の変化はめまぐるしい。「その間にバブル経済は崩壊し、牛丼の値段は下がり、お台場タウンが発生し」、けっきょく本書は、ほぼ全面が書き直された形となった。千代田區から始まって江戸川區まで、區ごとに分かれた短い23の章立てで、ちょっとした空き時間に読みやすい。1つの章の中では、さらにいくつかの地區に細かく觸れている。日本橋の気質、中野の気質、ニコタマの気質、といったその地區特有の空気や人々の気質を、多少の誇張を加えつつ、おもしろおかしくカテゴライズしていく。社會科の教科書をまねた、ですます調の文體もおかしい。
高度成長期の丸の內のサラリーマンたちが晝休みに屋上で興じたバレーボールのブームが去った理由、あるいは、六本木の夜遊びの変遷、などといった歴史的視點に立っての興味深い記述も多い。
本書は、ある程度東京に詳しい人の方が、きっと楽しんで読めるだろう。自分の住む地區、自分の職場がある地區の記述を読んで、苦笑しながらうなずいたり、思わず反論したくなったり。反対に他の地區の記述を読んで膝をたたいたり、あるいは、かつての東京の風俗の記述を読んで懐かしさをおぼえたり。舊作の『東京23區物語』と読み比べるのもおもしろいかもしれない。(岡田工猿)