內容介紹
あらゆる意味で今日の歌舞伎の基礎を確立した二代目市川団十郎。本書ではこの二代目の存在価値がいかに大きかったかを5つの視點((1)家の権威確立、(2)荒事芸と和事
芸の融合、(3)家の芸の確立、(4)義太夫狂言への道、(5)役者の社會的地位の向上)から
読み解き、二代目市川団十郎の人物像に迫る。
歌舞伎四百年の歴史のなかで、名人あるいは名優といわれた役者はたくさんいるが、
「市川団十郎」は特別な存在として人びとを魅了しつづけてきた。しかし、當代ま
で12人存在する市川団十郎の名を特別な存在にしたのが、二代目団十郎だったことを
知る人は意外に少ない。
彼は、17歳のとき舞台上で刺殺されるという形で父親(初代団十郎)を亡くし、波亂
に満ちた役者人生のスタートをきったにもかかわらず、くじけることなく頂點をきわ
めた。
舞台上で不動尊像となって団十郎を神格化し江戸庶民に自分を信仰させたり、「歌舞
伎十八番」の基礎をつくったり、「隈取」を進化させたりするなど、歌舞伎の歴史を
振り返ってみると、二代目団十郎は実に重要な存在なのである。
襲名ラッシュではなやかな最近の歌舞伎界。そのはじまりは二代目団十郎だったこと
を知ることで、あらためて現在の歌舞伎と出會い、あらたな歌舞伎の世界がひらけて
くる一冊。