背景
日本史書。平安初期學者齋部廣成著。807年 (大同二年) 成書。一卷。齋部氏自“神代”起就與中臣氏對等共掌朝廷神事,平安初期以來其勢日衰,中臣氏凌駕其上。
事件
時值平城天皇命廣成撰家史獻上,廣成以為此乃復興其家世良機,遂在書中以家傳《古傳》為據,敘述其祖神天太玉命及祖神之孫天富命之功,強調齋部氏地位與功績不在中臣氏之下。以此為中心記述“神代”至天平年間的歷史。書中載有不少末見於《記·紀》的歷史材料而被珍視。書中也記載了“歸化人”和上古文化交流情況。
文獻
古語拾遺
序
蓋(けだ)し聞けらく、「上古の世に、未だ文字有らざるときに、貴賤老少、口口に相伝へ、前言往行(ぜんげんおうこう)、存して忘れず」ときけり。書契(しよけい)より以來(このかた)、古(いにしえ)を談(かた)ることを好まず。浮華(ふか)競(きお)ひ興りて、還(また)舊老(くろう)を嗤(わら)ふ。遂に人をして世を歴(へ)て彌(いよよ)新(あらた)に、事をして代(よ)を逐(お)ひて変改せしむ。顧みて故実を問ふに、根源を識(し)ること靡(な)し。國史・家牒(かちよう)、其の由(よし)を載すと雖も、一二の委曲、猶遺(も)りたる有り。愚臣言(まお)さずは、恐るらくは絶えて伝ふること無からむ。幸(さきわい)に召問(しようもん)を蒙(かがふ)りて、蓄憤を#(の)べまく欲(ほり)す。故(かれ)、舊説(くせつ)を録(しる)して、敢へて上聞(じようぶん)す、と雲爾(まおすことしか)り。
天地開闢
一(ある)いは聞けり。夫(それ)、開闢(あめつちひら)くる初(はじめ)に、伊奘諾(いざなき)・伊奘冉(いざなみ)の二(ふた)はしらの神、共為夫婦(みとのまぐわいし)たまひて、大八洲國(おおやしまのくに)、及(また)山川草木を生みます。次に、日の神・月の神を生みます。最後(いやはて)に、素戔嗚神を生みます。而(しか)して、素戔嗚神、常に哭泣(なきいさつ)ることを以(もち)て行(しわざ)と為(す)。故、人民(ひとくさ)をして夭折(あからさまにしな)しめ、青山を変枯(からやまに)す。斯(これ)に因りて、父母(かぞいろは)の二はしらの神、勅曰(みことのり)したまはく、「汝(いまし)、甚だ無道(あずきな)し。早(すみやか)に根國(ねのくに)に退去(かむさ)りますべし」とのりたまふ。